Stataにおける推定コマンドの用法に関し、基本的な事項について記述漏れがありました。この点を是正すべくStata18用のCS版日本語解説書
BR01, BR03 に対し改訂版を用意しました。
課題:
今、連続変数 y を連続変数 x によって説明しようとする線形回帰モデルについて考えることにします。Stataに対して
regress y x
とコマンド投入してやれば、共変量 x に対する係数値 β は推定できるわけです。しかし今、この係数値 β は男女間で共通で良いのだろうかという疑問が湧いたとしましょう。最も単純なチェック方法は
regress y x if sex==0
と
regress y x if sex==1
という形でregressコマンドを実行し、その係数値を比較してみるというアプローチでしょう。しかしこの場合、2つの係数値間の有意差を通常のtestコマンドで検定することはできません。なぜなら推定結果が2つの推定コマンド間にまたがっているからです。
男女のようなカテゴリ別に x に対する係数値を推定しようとする場合に最もスマートな方法は
regress y sex#c.x
のような因子変数表記を用いる方法です。この表記法を用いた場合には1つの推定コマンドの中で男女別に係数値が出力されてくるので、有意差の検定はtestコマンドによって簡単に行うことができます。
今回、上記のような課題に着目する形で BR01, BR03 に対する改訂を実施しました。具体的なエンハンス内容は次の通りです。なお、因子変数表記による対応法がすぐ頭に思い浮かぶ方は今回の改訂版をスキップいただいて構いません。
# | コード | CS版解説書 | エンハンス内容 |
1 | BR01C | [基盤系機能編] 推定の基本 | 因子変数 (factor variables) 表記に関する技術資料に対し補足2を追加し、カテゴリ変数と連続変数間の交互作用の意味合いとその用法について解説を加えました。 |
2 | BR03B | [基盤系機能編] 多彩な検定機能 | 推定結果の結合機能を提供する suest コマンドに関し記述を追加しました。 |
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